日本ゴーシェ病の会 ご家族
【前編】 ゴーシェ病と向き合う家族の歩み 診断から治療、患者会とのつながりまで

2026年7月17日 公開

ゴーシェ病は、ライソゾーム病の一つです。


症状の出方や進行には個人差があり、乳幼児期から体のさまざまな変化が見られる場合もあります。

今回は、日本ゴーシェ病の会につながる2名のご家族に、
診断までの経緯、早期診断の大切さ、治療を始めてからの変化、患者会でのつながりについて伺いました。


※本記事では、個人が特定されないよう、インタビューにご協力いただいたご家族を「Bさん」「Aさん」と表記しています。


インタビュー目次

【前編】ゴーシェ病と診断されるまで|家族が感じた初期症状と早期診断の大切さ

Q1. ゴーシェ病との関わりや、日本ゴーシェ病の会との関わりについて教えてください

Q2. 最初に「いつもと違う」「何か気になる」と感じた症状や出来事は何でしたか

Q3. 診断に至るまで、どのような医療機関を受診しましたか

Q4. 診断がつくまでの期間で、不安だったことや情報収集で難しかったことは何でしたか

Q5. 早期診断が大切だと感じる理由を教えてください


【後編】ゴーシェ病の治療と暮らし|神経症状、患者会、新しい治療への願い ※後編は後日公開予定です

Q6. 治療開始後、治療や生活はどのように変わりましたか

Q7. 治験や新しい治療について知ったきっかけを教えてください

Q8. 治験や新しい治療について、ご家族でどのようなことを話し合いましたか

Q9. 治験や新しい治療薬に関して、患者さん・ご家族にはどのような情報が必要だと思いますか

Q10. 日本ゴーシェ病の会につながってよかったことを教えてください

Q11. 同じようにゴーシェ病と向き合うご家族へのメッセージをお願いします


Q1. ゴーシェ病との関わりや、日本ゴーシェ病の会との関わりについて教えてください

(Bさん)子どもがゴーシェ病と診断されるまで、私自身はこの病気を知りませんでした。出産した当時は、現在のように拡大新生児マススクリーニングの情報に触れる機会も少なく、見た目には元気に生まれてきたので、最初は大きな心配をしていませんでした。


ただ、少しずつ「何か違う」と感じることが増えていきました。

診断後、日本ゴーシェ病の会につながり、病気のことや治療のことを教えていただいたことは、とても大きかったです。

そこから、想像していたよりも前向きに生活を考えられるようになりました。


(Aさん)私も、子どもが診断されるまでゴーシェ病という病気を知りませんでした。生まれてしばらくしてから、血小板の低下や発達面の気になる様子など、さまざまな変化がありましたが、病名まではなかなか分かりませんでした。


診断がついてから、初めて「ゴーシェ病」という名前を知りました。

患者会にはすぐに入ったわけではなく、最初は成長を見守っていました。ただ、症状が強くなってきた時に「情報が必要だ」と感じ、日本ゴーシェ病の会につながりました。


Q2. 最初に「いつもと違う」「何か気になる」と感じた症状や出来事は何でしたか

(Bさん)生後数か月の頃から、寝ている時や泣いている時に、よだれをうまく飲み込めないようなガラガラした音がありました。


お腹も生まれた時から大きく、臍ヘルニア(でべそ)もありました。

その後、目の動きにも変化が出てきました。内斜視を指摘されたり、赤ちゃんの頃にはできていた追視が難しくなったりしました。胸のあたりに内出血のようなものが出たこともあり、血液の病気を疑われたこともあります。


呼吸の状態が悪くなることもありました。泣くと顔色が悪くなり、チアノーゼのような状態になったり、ひどい時には失神したりすることもありました。親としては、常に目を離せないような感覚でした。

 

(Aさん)生まれてすぐに血小板が低いことが分かり、大きな病院に搬送されて入院しました。

その後、しばらくは成長曲線に沿って育っていましたが、少しずつ目の動きが気になるようになりました。


目だけで物を追うことが難しく、見る時には首ごと動かさないと視界に入らないような様子がありました。さらに、体重が増えにくい、食べ物が詰まりやすい、立つことが難しいといった変化もありました。


食事では、何を食べても詰まってしまうような状態があり、救急搬送されたこともあります。今振り返ると、複数の症状が少しずつ出ていたのだと思います。


Q3. 診断に至るまで、どのような医療機関を受診しましたか

(Bさん)最初は、健診やかかりつけの先生から紹介を受け、子ども専門の病院を受診しました。目の症状については、先天性の内斜視なのか、神経の症状なのかという話もありました。


その後、呼吸が止まりそうになったり、失神のような症状があったりしたため、別の病気も疑われました。ミトコンドリア病なども視野に入り、染色体の検査など、いろいろな検査を受けましたが、すぐには診断がつきませんでした。


風邪をきっかけに呼吸状態が悪くなり、入院した時に、血小板の低下や肝臓・脾臓の腫れがはっきり分かりました。そこから検査が進み、最終的にゴーシェ病と診断されました。診断までには、体感として長い時間がかかりました。

(Aさん)うちの場合も、生まれてすぐの血小板低下で大きな病院に入院しました。ただ、その後は総合病院で経過観察という形が続きました。発達がゆっくりなのも「個性」と言われることがあり、親としては不安が残っていました。


転機になったのは、風邪で地域のクリニックを受診した時です。その先生が、触診で肝臓や脾臓の腫れに気づいてくださいました。そして、検査のための採血キットを取り寄せ、専門の検査機関に送ってくれました。


その結果、ゴーシェ病が分かりました。大きな病院に通っていても診断にたどり着けなかった中で、地域の先生が気づいてくださったことが本当に大きかったです。


Q4. 診断がつくまでの期間で、不安だったことや情報収集で難しかったことは何でしたか

(Bさん)診断がつく前は、インターネットで調べるしかありませんでした。ただ、症状を調べても、はっきりした情報にはなかなかたどり着けませんでした。病院では「時期が来たら落ち着くかもしれない」「様子を見ましょう」と言われることもありました。


でも、親としては明らかにおかしいと感じていました。食べ物が詰まって救急搬送されたこともあり、「このまま放っておいたら命に関わるのではないか」という不安が常にありました。


診断後にゴーシェ病について調べた時も、当時はとても厳しい情報が多く出てきました。病気には個人差があるので、主治医に聞いてもはっきりした見通しを聞くことは難しく、限られた情報だけが頼りという状況が怖かったです。


(Aさん)診断がつくまでは、何の病気なのかが分からないので、調べようにも調べ方が分かりませんでした。症状はあるのに、病名がない。そうなると、治療にも情報にもつながりにくいと感じました。


進行性の病気では、時間が経つほど状態が悪くなってしまうことがあります。だからこそ、診断がつかないまま経過観察になることの不安は大きかったです。


Q5. 早期診断が大切だと感じる理由を教えてください

(Bさん)ゴーシェ病だけでなく、ライソゾーム病や先天性代謝異常の中には、早く見つけることが大切な病気があると思います。だからこそ、産院や健診など、子どもと家族が最初に医療と接する場所で、もっと情報が広がってほしいです。


情報があれば、「もしかしたら」と気づけるかもしれません。実際に、私は身近な人には、拡大新生児マススクリーニングについて知っておいてほしいと伝えています。もちろん検査には地域差や費用の問題もありますが、知る機会があるだけで、選択肢は変わると思います。


(Aさん)診断がつかないと、病気に対する治療は始まりません。原因が分からない間は、どうしても経過観察になりやすいと思います。


ゴーシェ病のように進行する病気では、早く診断がついて、選べる治療があるなら早く始めることが大切だと感じています。完全にすべてを治せる薬ではなくても、進行を抑えたり、体の状態を改善したりできる可能性があるなら、その時間はとても大事です。



お二人の話からは、診断がつくまでの間、家族がどれほど不安を抱えながら日々を過ごしていたのかが伝わってきます。


「何かがおかしい」と感じても、すぐに病名にたどり着けるとは限りません。
だからこそ、ゴーシェ病を含むライソゾーム病について知る機会を増やし、
必要な検査や専門医につながりやすい環境を整えることが、早期診断のために大切だと感じました。


後編では、診断後の治療や日常生活の変化、神経症状に対する課題、そして日本ゴーシェ病の会につながる意味について伺います。



▼日本ゴーシェ病の会に関しては、こちらを確認

https://www.gaucherjapan.com/

インタビュー・作成
一般財団法人 日本患者支援財団 運営事務局