ムコ多糖症Ⅱ型 はやとくんご家族インタビュー
【第2回】 診断、治療、学校生活、情報発信 はやとくんとご家族が歩んできた道のり

2026年9月24日 公開

ムコ多糖症Ⅱ型と診断された後、ご家族は治療を選び、定期的な通院を続けながら学校生活を始めました。


その一方で、心臓の状態や視力の変化など、成長の中で新たに分かったこともあります。

中編では、治療を始めるまでの経緯、点滴の日の工夫、学校との連携、視力をほぼ失った後の生活について伺います。


治療を始めれば、生活の悩みがすべて解決するわけではありません。

点滴をどう受けるか、学校に何を伝えるか、服薬をどう続けるか。その後、視力が大きく変化したときには、家の中での安全や介助の方法も一から考え直す必要がありました。

第2回では、医療と日常生活が切り離せないことを、ご家族の具体的な経験からたどります。


目次

【第2回】治療と日常生活――治療を受けながら、学校で暮らす

1.診断の次に始まったのは、「どの治療を選ぶか」という時間

2.点滴の日は、病院へ行って終わりではない

3.学校に病気を伝えるとき、「病名」だけでは足りなかった 🔏

4.8歳頃、心臓の状態についても変化が分かった 🔏

5.視力をほぼ失って、家の中の「当たり前」が変わった 🔏

6.今のはやとくんに合わせて、学校も方法を探している 🔏

7.できなくなったことだけではなく、「楽しめること」も探している 🔏


1.診断の次に始まったのは、「どの治療を選ぶか」という時間

診断を受けた医療機関では、病名を伝えられたものの、治療について詳しい説明を聞いたり、十分に質問したりする機会はあまりなかったといいます。

当初は主に酵素補充療法の点滴治療について説明を受けていました。


その後、実際に治療を受ける病院として近畿大学奈良病院につながり、そこで造血幹細胞移植と酵素補充療法の点滴という選択肢について説明を受けました。


はやとくんは診断された時点ですでに5歳を過ぎていました。

ご家族は、早期に発見して移植を行うほど効果が期待される一方、5歳頃では移植による効果を十分に期待しにくい可能性があるという説明を受けました。

その説明を踏まえ、ご家族は酵素補充療法の点滴を選択しました。病名を知ることに続いて、次に必要になったのは、本人の年齢や状態について説明を受けながら、家族として治療方法を選ぶことでした。


診断当初に聞いていたのは点滴治療が中心で、造血幹細胞移植という選択肢について詳しく聞いたのは治療先の病院でした。

どの治療を選ぶかを考えるためには、治療法の名前だけでなく、「はやとくんの年齢ではどう考えるのか」という本人に即した説明が必要でした。


ご家族は医師の説明を聞き、その時点では点滴治療を続けていくことを選びました。現在の通院生活は、このときの選択から始まっています。


2.点滴の日は、病院へ行って終わりではない

点滴治療の日は、自宅から約10分ほどの病院へ向かい、午前9時頃に到着します。

距離としては近い病院ですが、治療の日には、点滴そのものだけでなく、血圧や酸素飽和度の測定などもあります。


はやとくんは注射や点滴を嫌がり、叫んだり泣いたりすることがあります。

特に視力をほぼ失ってからは、「これから何をされるのか」が見えない不安が強くなりました。手を触られること自体を怖がることもあります。

そのため、点滴の穿刺だけでなく、血圧を測るときにも時間がかかることがあります。

そこでご家族が続けているのが、お菓子を使った工夫です。食べることに意識が向いている間に測定すると、比較的スムーズに進むことがあり、それをきっかけに続けています。


この方法は、最初から「治療のための工夫」として考えていたものではありません。

たまたまお菓子に集中している間に測定が進みやすかった経験があり、「これなら少し楽にできるかもしれない」と続けるようになりました。

定期的に通院するからこそ、一度うまくいった小さな工夫を次の通院にも生かしていく。本人が少しでも不安なく処置を受けられるように、ご家族は日常の中で方法を見つけています。


視力があった頃は、バイタル測定を楽しんで、自分から手を差し出すこともあったそうです。

同じ治療を続けていても、本人の状態が変われば、治療を受けるときの感じ方も変わります。ご家族は、その時のはやとくんに合うやり方を探しながら通院しています。


3.学校に病気を伝えるとき、「病名」だけでは足りなかった

7歳で小学校の支援級に入学したはやとくん。


入学前には支援級の教員と打ち合わせを行い、病気の内容だけでなく、本人の性格や特性、学校生活で配慮が必要なことについて共有しました。

さらに、教員には病院へ来てもらい、主治医から疾患の概要や本人の状態について直接説明してもらいました。ムコ多糖症Ⅱ型という病名を初めて聞く教員にとっても、病気の名前だけでは「どこまでできるのか」「何に注意するのか」は分かりません。


ご家族が大切にしたのは、「病気だから、できない」と一括りにされないことでした。

病名を聞いた教員が、激しい運動はできないのではないかと必要以上に制限を想定する可能性があります。

そこで、主治医から、はやとくんの場合は体育や運動会にも通常どおり参加できることを含めて説明してもらいました。


疾患についてすべて理解してもらうことよりも...



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