2026年7月23日 公開
ゴーシェ病は、ライソゾーム病の一つです。
症状の出方や進行には個人差があり、乳幼児期から体のさまざまな変化が見られる場合もあります。
今回は、日本ゴーシェ病の会につながる2名のご家族に、
診断までの経緯、早期診断の大切さ、治療を始めてからの変化、患者会でのつながりについて伺いました。
※本記事では、個人が特定されないよう、インタビューにご協力いただいたご家族を「Bさん」「Aさん」と表記しています。


【前編】ゴーシェ病と診断されるまで|家族が感じた初期症状と早期診断の大切さ ※前編は別記事へ遷移します
Q1. ゴーシェ病との関わりや、日本ゴーシェ病の会との関わりについて教えてください
Q2. 最初に「いつもと違う」「何か気になる」と感じた症状や出来事は何でしたか
Q4. 診断がつくまでの期間で、不安だったことや情報収集で難しかったことは何でしたか
【後編】ゴーシェ病の治療と暮らし|神経症状、患者会、新しい治療への願い
Q7. 治験や新しい治療について知ったきっかけを教えてください
Q8. 治験や新しい治療について、ご家族でどのようなことを話し合いましたか
Q9. 治験や新しい治療薬に関して、患者さん・ご家族にはどのような情報が必要だと思いますか
Q10. 日本ゴーシェ病の会につながってよかったことを教えてください
Q11. 同じようにゴーシェ病と向き合うご家族へのメッセージをお願いします
(Aさん)治療として、2週間に1回の酵素補充療法を受けています。治療を始めてから、血小板の数値は落ち着き、肝臓や脾臓の腫れも改善してきました。
治療前は、お腹が大きく張っていて、血管が見えるほどでした。酵素補充療法を始めてからお腹の大きさが普通に近づき、普通のズボンが履けるようになりました。見た目にも変化が分かるほどだったので、治療の意味を強く感じました。
一方で、通院はとても多くなりました。酵素補充療法だけでなく、眼科、脳外科、整形外科、歯科など、複数の診療科に通っています。診察券が何枚もあるような状態です。
食事も、普通食からペースト状のものに変わり、全介助が必要になりました。風邪をひくと一気に状態が悪くなり、入院や付き添い入院になることもあります。きょうだいがいる家庭では、その調整も大きな負担になります。
夜間に吸引が必要な時は、眠れない日も続きます。ただ、病気を通して、命の大切さを強く感じるようになりました。笑ってくれているだけで幸せだと思えるようになったことも、大きな変化です。
※酵素補充療法の効果や治療方針は、病型や症状、体の状態によって異なります。
治療については主治医にご相談ください。

(Bさん)治験や研究の情報は、日本ゴーシェ病の会の方から教えていただくことが多かったです。自分で論文を探すこともありますが、専門用語が多く、一般の家族が理解するには難しい内容もあります。
患者会に入ってすぐに、病気のことや治療のことを教えていただけたことは、大きな転機でした。自分たちだけで情報を探すよりも、経験のある方や専門の先生につながれることの意味は大きいと感じました。
(Aさん)診断後、主治医から治験の話を聞いたことがあります。治療の可能性があるなら受けたいと思い、検査を受けましたが、結果として対象にはなりませんでした。
その時は、ゴーシェ病のことを知ったばかりで、治験や新しい治療について十分な知識があったわけではありませんでした。ただ、可能性があるなら知りたい、できることがあるなら考えたいという気持ちでした。
(Bさん)大学病院で研究的に治療の可能性を検討していただいたことがありました。
ちょうど症状が大きく悪化し、神経症状が進み始めた時期でした。
当時は面会制限もあり、家族でゆっくり話す時間も取りにくい状況でした。
それでも、LINEなどで短くやり取りしながら、「可能性があるならお願いしたい」「ダメ元でも試せるならお願いしたい」と話し合いました。
結果として、試した治療法は、大きな効果をみせ、娘は首が座らず寝たきりだった状態から、自ら起き上がり、座れるまで回復しました。
今でもこの治療を継続していることで、神経症状進行を遅らせることができており、成長に合わせてできるようになったこともあります。
現時点では研究段階のお薬ですが、治療薬として承認されれば、娘と同じように神経症状の進行を遅らせることのできる方がいるかもしれません。
(Aさん)うちは、外来通院の時に家族で話し合いました。他に手立てがないなら、やれるなら一択だという気持ちでした。
当時は、病気について調べると厳しい情報も出てきて、先のことを考えるのが怖い状況でした。それならば、可能性があるものにかけたいという思いがありました。ただ、検査の結果、対象にはならないということが分かりました。
(Bさん)知りたいのは、やはり副作用や安全性です。ゴーシェ病は患者数が少ないので、症例数が少ない中で判断しなければならない不安もあります。
日本だけでなく、世界でどのような研究が進んでいるのか、一般の家族にも分かる言葉で伝えてもらえると安心材料になります。論文は専門用語が多く、家族が読み解くには難しいことも多いので、誰が読んでも分かる形で情報が届くと助かります。
(Aさん)一番気になるのは、安全性と副作用の程度です。薬には効果が期待できる一方で、リスクもあると思います。治験は、まだ分からない部分がある世界に入る怖さもあります。
だからこそ、どういう治療なのか、どのような効果が期待されているのか、副作用にはどのようなものがあるのかを、できるだけ知ったうえで判断したいです。



(Bさん)一番大きいのは、自分たちだけではないと思えることです。しんどいのは自分たちだけではない。困った時に相談できる場所がある。同じような苦しみや課題を抱えているご家族とつながれるだけで、気持ちは全然違います。
治療のこと、生活の工夫、病院との関わり方など、実際に経験しているご家族だからこそ分かることがあります。
私自身も、先輩のご家族から助けてもらいましたし、今後は自分が経験したことを、必要としている方に伝えていけたらと思っています。
(Aさん)希少疾患の場合、日常生活の中で同じ病気の方に出会うことはほとんどありません。病院の先生でも、ゴーシェ病の患者さんを診た経験がないことがあります。そうすると、情報量がどうしても限られてしまいます。
患者会につながると、専門の先生や、長く子どもを育ててこられたご家族とつながることができます。実際に経験してきたお母さんたちの知識量は本当に大きいです。病気の情報だけでなく、生活の中でどう対応してきたのかを聞けることは、とても心強いです。
(Bさん)これまで、先輩のお父さん、お母さんにたくさん助けてもらいました。だから、これからは自分が経験したことも、できる範囲で発信していきたいと思っています。
全国に同じ病気と向き合っているご家族がいます。直接会うことが難しくても、子どもができるだけ楽しく、幸せに過ごせるように、自分にできることを続けていきたいです。そして、つながり続けることができたらうれしいです。
(Aさん)希少疾患は、病院でも「どんな病気ですか」と聞かれることがあるくらい、知られていないことがあります。だからこそ、孤独になりやすいと思います。でも、1人じゃないということを伝えたいです。
1人で抱えていると、どうしたらいいか分からなくなることがあります。だから、同じ病気と向き合う人たちとつながって、一緒に声を上げていくことが大切だと思います。患者数が少ない病気でも、治療薬を必要としている患者さんたちがいることを、もっと知ってもらいたいです。
診断がつくまでの不安、治療を始めてからの変化、日常生活の負担、そして患者会でのつながり。
2人のご家族のお話からは、ゴーシェ病という希少疾患と向き合う中で、早期診断と情報共有がどれほど大切かが伝わってきました。
「何かおかしい」と感じた時、その違和感が見過ごされないこと。診断後に、必要な治療や支援、同じ病気と向き合う人たちにつながれること。そうした一つひとつが、ご家族の不安を少しでも軽くする支えになります。
今回お話を伺ったBさん、Aさんは、いずれも日本ゴーシェ病の会に参加されています。
インタビューの中でも、診断後に同じ病気と向き合うご家族とつながれたこと、
経験を共有できる場があったことが、情報面でも気持ちの面でも支えになったと話してくださいました。
ゴーシェ病は患者数が少ない希少疾患であるため、身近に同じ病気の方がいないことも少なくありません。
病気や治療、日常生活について知りたいことがある方、同じ病気と向き合うご家族とつながりたい方は、
日本ゴーシェ病の会の情報もご確認ください。
▼日本ゴーシェ病の会に関しては、こちらを確認
インタビュー・作成
一般財団法人 日本患者支援財団 運営事務局